雅萩堂「雅萩堂が選ぶ萩焼」のお話

その歴史、420年超え!山口県が誇る「萩焼」。
山口県を代表する伝統工芸品の一つ、「萩焼」。徳川家康が江戸幕府を開いた翌年の慶長9年、萩藩主・毛利輝元が萩に入府する際に伴ってきた朝鮮の陶工によってもたらされた陶器で、420年以上の歴史を誇ります。萩焼と言えば、かつては「びわ色(黄色系)」が主流でしたが、最近はそうでもありません。伝統的なびわ色に加え、さまざまな色合いの作品が登場し、新たなファンを獲得しているのです。「おんらいんやまぐち館」でも、「銀河」をイメージさせる深いブルーのカップとソーサーが並びます。

店主自らが厳選した萩焼のみ扱う「雅萩堂」。
この萩焼のカップ&ソーサーを扱っているのは、萩市堀内にある萩焼専門店「雅萩堂(がしゅうどう)」。店主は生まれも育ちも萩市の杉山愼一さんです。「高校を卒業後に山口を出て、昭和55年に東京都千代田区神田佐久間町で萩焼専門の卸売・小売店を設立したのが始まり。39年前、親を介護するために萩市に戻り、平成10年にここで小売直売店を始めました。帰郷当初は窯を築いて自分で製造もしていましたが、今は厳選して仕入れた作品の販売に専念しています」と話してくれました。

萩市で最も多い!?作家70名とのコネクション。
杉山さんがこれまでつながってきた萩焼作家の人数はおよそ70名。皿や湯呑み、マグカップ、茶碗、花器…と、店内には所狭しと萩焼が並びます。「仕入れる際には、作品そのものだけでなく、作家さんの人柄も重視しています。ですから当店で扱っているのは、私が『この人の作品を使ってもらいたい』と思った作品だけ。どれも個性的で素敵なものばかりです」と杉山さん。

天然釉薬がもたらす味わい深いブルー。
「おんらいん やまぐち館」のラインナップの一つ、「銀河ブルーコーヒーセット」について、杉山さんにお話をお聞きしました。「銀河系を想像させる味わい深いブルーが印象的な作品。このブルーは天然釉薬(ゆうやく)を使って出しているんです。当店が扱っている萩焼はたくさんの作家による手作りですから、色や形は少しずつ異なります。どれも全く同じものが2つとない、唯一無二の作品です」。ちなみに、窯焚き(窯で焼く作業)の際、青い炎に当てるか、黄色い炎に当てるかで仕上がりの色は変わってくるのだそう。

人間国宝・三輪休雪の作品をオマージュ。
萩焼の表面には、「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる細かいヒビ模様が入っています。長年使い込んでいくと、その貫入に茶渋などが浸透し、徐々に色合いや風合いが変化していきます。「萩の七ばけ」と呼ばれるこの変化を、数ある作品の中でもわかりやすく楽しめるのが「白萩」シリーズ。人間国宝・三輪休雪の作品のオマージュで、その白さは天然釉薬のワラ灰を使うからこそ出せるのだとか。「お抹茶が映える当店自慢の作品です。注ぐと一瞬にして香りが立ち、お抹茶の深い味わいを楽しむのにも最適。もちろん、ご飯をよそったり、小鉢として使っても大丈夫。思い思いの使い方ができるのも萩焼のいいところです」。時間をかけて自分なりに育てていくのも萩焼の醍醐味です。

お客さんの声から生まれた「マグドリップ」。
雅萩堂には、特許を取得したオリジナルの萩焼アイテムもあります。それは、お客さんの声から生まれた一人用のドリップコーヒーマグ「マグドリップ」です。「ある時、お客さんが小さなコップの底に穴を開けて欲しいと訪ねてこられました。理由を尋ねると、『コーヒーが大好きだった夫が亡くなり、一人用のドリッパーが欲しい』と。そこから試作を始め、1年かけてようやくドリッパーが完成しました。どんなマグカップにも使えるよう、スカートのないタイプです。かつてないドリッパーということで特許を取得し、マグカップとのセットで2つ目の特許を取得しました」と杉山さんは開発の経緯を教えてくれました。マグドリップはたちまち人気となり、今では雅萩堂を代表する商品の一つに。現在、5名の作家の手によって作られているため、カラーも形もバリエーションが豊富なのだとか。また、開発から9年が経った今も、より使いやすいようにと改良を重ねているそうです。

あの名曲に共鳴して開発された人気シリーズ。
名曲に触発されて生まれた「STANDBYME」シリーズも雅萩堂の人気アイテムです。もともとジャズが大好きだという杉山さんは、世界のアーティストが「PlayingForChange」と銘打って、平和に祈りを捧げながらジャズナンバー「STANDBYME」を歌うのをたまたま耳にし、自らも共鳴したいと作品の開発に挑んだのでした。「『STANDBYME』は作家・山根清玩さんと一緒に開発しました。こちらのシリーズは色がどんどん増えて、今では全11種あります。最新はゴールドで、非常に人気が高いです」。

萩焼の魅力は歴史、風合い、機能性。
長年萩焼に携わってきた杉山さんですが、「今が一番、萩焼のことが好きかもしれない」と笑います。その理由は、全国の窯業地を巡り、全国の焼き物を知ることで、萩焼の良さを改めて認識したからだそう。「萩焼は『一楽、二萩、三唐津』と称される素晴らしい陶器。見た目だけでなく、断熱、保温性が高く、身体に優しく、機能的にも優れています。小さい頃は何の気なしに当たり前のように使っていましたが、歴史や機能性を知れば知るほど魅了されていきました」。

初めての萩焼選びは雅萩堂へ。
「萩市に足を運んでいただき、萩焼を作っているところの見学や、萩焼体験をしてもらいたい。そして、気に入った器を見つけたら、ぜひ連れて帰ってもらいたい。大切に育ててもらえたら嬉しいです」と杉山さん。雅萩堂には日本各地から、海外から豊富に揃う萩焼を目的に多くの方が訪れます。ただ、雅萩堂の魅力は萩焼の品揃えだけではありません。杉山さんとのおしゃべりもぜひ楽しんでいただきたい。萩焼の歴史、素材、製法から、萩焼がもたらしてくれたご縁や再会、世間話…と、話が尽きることがありません。杉山さんの知識とお人柄をお借りすれば、きっとあなたにぴったりの萩焼が見つかるはず。「初めての萩焼」選びにもおすすめしたいお店です。