おいでませ山口館

特集 やまぐち語り

深川養鶏農業協同組合「鶏卵われせんべい」のお話

卵の甘味が感じられる素朴な味わいで大人気!

山口県に住んでいれば、どこかで一度は見かけたことのあるお菓子「鶏卵せんべい」。昭和28年に誕生して以来、老若男女に愛され続けるロングセラー商品です。特徴はやさしい甘味と素朴な味わい。ひと言で表現するならば「カステラ風味」といったところ。サクッとしたその食感も人気の理由です。

手がけるのは「長州どり」を育てる深川養鶏。

「鶏卵せんべい」を開発したのは深川養鶏農業協同組合。日本海に面した自然豊かな長門市を中心に、「長州どり」や「長州黒かしわ」の種鶏(親どり)の育成から雛の販売、鶏肉の製造・加工・販売と、一環管理を行う肉用鶏専門の農業協同組合です。ストレスの少ない平飼いで育てられる「長州どり」は、柔らかな肉質と淡白な味わいが特徴。セージやタイム、ローズマリーなど5つのハーブを配合したオリジナルの飼料を与えるため、臭みがないのも魅力です。

「もったいない」から始まった菓子づくり。

「若い鶏が産む卵は小さいため、雛を孵化させるのに向いていません。だからと言って廃棄するのはもったいない。そこで始まったのが菓子づくりです」と話してくれたのは、製菓部製造課の課長を務める岡本さん。入社してすぐに製菓部に配属され、23年もの間「鶏卵せんべい」の製造に携わっているそうです。「数ある菓子の中からせんべいを選んだのは、手軽さ、親しみやすさを重視したからと聞いています」とその誕生の経緯を教えてくれました。

大切なのは、変わらぬ味を守り続けること。

卵とはちみつと上白糖といったごくごくシンプルな原料を混ぜ合わせ、やさしい甘さで素朴な味わいに焼き上げられる「鶏卵せんべい」。昭和43年に開催された全国菓子大博覧会では総裁賞を受賞しています。「実は味の向上を図ろうとはちみつの種類を変えてみたりもしたのですが、やっぱり変わらぬ味がいいという結果になりました」と岡本さん。ただ、味と品質を一定に保つためには、温度や湿度によって生地の練る時間の調整などが必要で、「毎回全く同じように作ればいい」というわけではないそうです。

せんべいに隠された「ながとけいらん」。

「鶏卵せんべい」は専用の機械で表、裏とひっくり返されながら人形焼の要領でどんどん焼かれていきます。こんがりとたぬき色に焼き上がったら、おなじみの焼印を押して完成。一見、鶏の絵柄のように見えるこの焼印ですが、「ながとけいらん」の平仮名で構成されているそうです。ご購入の際には食べる前に観察してみてください。

次なる「もったいない」から人気商品が誕生!

卵がもったいないからと誕生した「鶏卵せんべい」に、もう一つの「もったいない問題」が浮上します。それは、製造過程で出てくる「欠けたせんべい」です。もともと山口県土産として箱詰めしてホテルや旅館をメインに販売していたため、欠けたせんべいは商品になりません。とは言え、処分するのはもったいない…。そこで、一斗缶に詰めてB級品として販売。これが「鶏卵われせんべい」誕生の時でした。当初、内容量およそ2kgの「鶏卵われせんべい」でしたが、いつしか「食べ切れるサイズに」とチャック付きの袋に分けて販売するように。するとその親しみやすさから人気は急上昇。今では製造過程で出てくる欠けたせんべいでは賄えなくなり、欠けていないせんべいで補っているほど。「どこが割れているの?」と聞かれることも少なくないそうです。

忘れてはならないもう一つのヒット商品

深川養鶏の菓子は「鶏卵せんべい」だけではありません。卵の風味とやさしい甘さ、しっとりとした食感、手頃なサイズが人気の「ふかわのバームクーヘン」もまた逸品。こちらも小さな子どもからご高齢の方までたくさんの方に愛されています。

550℃のオーブンで職人が丁寧に焼き上げる。

卵、砂糖、小麦粉、コーンスターチなど、一般的に使われるバームクーヘンの原料を用いますが、バターは不使用。その理由は、尖った味ではなく、素朴で飽きない味に仕上げるための工夫なのだとか。生地は夏場と冬場で温度を変えるなど徹底的に管理し、職人が550℃のオーブンにつきっきりで丁寧に、丁寧に焼いていきます。1回で18本、焼き時間におよそ30分を要し、午前中に4回、午後に4回で、1日に144本を焼き上げるそうです。

端っこを集めて販売。贈答品から日常の菓子へ。

焼き上げたバームクーヘンは機械で当分に切り分けられます。その際に出てくる切れ端、つまり切り落とした端っこ部分を商品化したのが「おすそわけ プチクーヘン」です。誕生した理由は「鶏卵われせんべい」と同じく、「もったいない」から。しかし、この発想がどちらかと言えば贈答品のイメージが強かったバームクーヘンの存在を、親しみやすい日常の菓子に変えたのだと言います。

端っこは1本につき2切れ。実はほとんどが正規品。

1本のバームクーヘンから取れる端っこは2切れだけ。製造過程で形が崩れてしまうケースもあまりなく、需要に対して製造量が圧倒的に不足しているそう。そのため現在は端っこでもなく、型崩れしてしまったものでもなく、普通に製品として売れるものも一緒に詰めて販売。その結果、お得な商品としてますます人気が高まっているのだとか。

「鶏卵われせんべい」は牛乳に浸して、
「プチクーヘン」は冷凍しても美味!

「鶏卵われせんべい」は、シリアルのように牛乳に浸して食べたり、コーンの代わりにアイスと一緒に食べるのもおすすめ。「おすそわけ プチクーヘン」は、冷凍すればシャキシャキの食感を、少し温めればより柔らかな食感を楽しむことができます。2つの商品は「おいでませ山口館」にて販売中。オンラインショップでの購入も可能です。

山口県で、全国で、末永く愛される菓子を。

深川養鶏は「長州どり」がメインですが、「鶏卵せんべい」や「ふかわのバームクーヘン」などの菓子も全国に知られるようになってきました。「長門市を、山口県を代表する菓子として、地元を離れても家族の一員のような存在であり続けたい」と岡本さん。「作る人間」は世代交代しても、「作る想い」は変わらないよう受け継いでいきたいとその想いを語ってくれました。そして、新たな商品の開発にも挑戦したいとのこと。深川養鶏からまた一つ、幅広い世代に愛される菓子が生まれることが楽しみです。

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